こんにちは、ナナです。
私はとあるIT企業の技術教育を担当しており、年間200人ほどの未経験者・初心者を教育することがあります。
昨今のプログラミングブームから、未経験でIT企業へ転職してくる方は非常に多くなっています。
「プログラミング」というスキルを身に付けることで、将来に向けて生活を安定させたい、自分に自信を持ちたいという思いが強いのです。
この記事はそんな私から、未経験ながら転職しようと考えているあなたへのアドバイスです。
正直に辛口な意見を述べます。
それはこの世界で20年活動してきたからこそ、開発の楽しさだけでなく、辛さもしんどさも知っているからです。
IT企業へ転職をする前にやるべきことはこの3つです。
それでは、順に解説していきましょう。
エンジニア職にあこがれる前にじっくり考えよう!
今の仕事なんてやめて、未経験だけどエンジニアになるんだ~!
プログラミングって流行ってるし、自分もできるっしょ!
いやいやいや、ちょっと待ってー。本当に大丈夫なの?
君は自分のエンジニアの資質はわかってるのかな?資質があるとわかってから会社を辞めても遅くないんじゃないかな?
プログラミングのことを何も知らない未経験の状態から、IT業界に転職し飛び込んでくる方がいますが、冷静によく考えてみて下さい。本当に大丈夫ですか?
今の仕事の方が実は向いているのかもしれませんよ。
「プログラミングは誰でもできる」という甘い言葉の罠
「プログラミングなんて簡単だ」「プログラミングは誰でもできる」といった言葉が巷に溢れています。
この言葉は、プログラミングの世界に一歩踏み出す勇気がでない人にはすごく心強い言葉ですね。
しかし、エンジニアを職業として選ぼうと考えておられる方は慎重になってください。
職業ということは、成果をもとに報酬を頂くということであり、プロということです。
「誰でもサッカーはできるよ」という言葉を「誰でもプロサッカー選手になれるよ」とは解釈しませんよね。
これはエンジニアも同じです。もちろんプロのサッカー選手に比べたら、エンジニアを職業とすることは遥かに実現性は高いでしょう。
だからと言って、誰でもプロのエンジニアになれるといったものではないのです。
私は何人もの「エンジニアになりたい」と思って入社した人達が、現実の壁に打ちのめされる光景を見てきました。
「〇〇は簡単!」「△△は難しい!」とかって、一概に語るものではないと思うのです。
どうしてプロのエンジニアになれると思ってしまうのか?
皆さんに「プロサッカー選手になれますか?」と聞けば、多くの人が「なれるわけない」と判断されますよね。
ですが、これがプログラミングの世界になったとたん「エンジニアになれますか?」と聞けば「なれるかもしれない」と錯覚するのです。
サッカーであれば、これまで生きてきた中で体育の授業や放課後に遊んだりして自分の資質を知っています。そして、プロのサッカー選手とはどんな技術を持っている人なのかを知っているため、自分ではなれないことが容易に判断できます。
しかし、プログラミングはこれまで授業でも習ったことがなく、プロのエンジニアの世界を覗いたこともないため、多くの未経験者は「みんなができるなら自分にもできるのでは?」と考えがちです。
経験したことないが故に、みんな自分の可能性を信じたいのです。
しかし、冷静になって本当に自分がエンジニアに向いているかについて真剣に向き合ってみる時間を作りましょう。
未経験者に起こる圧倒的な技術習得の格差
未経験者を何百人も見ていると、同じ未経験者であるにも関わらず人によって技術の習得スピードが明らかに異なることに気づきます。
全く同じカリキュラムでも、一週間で早々と終了してしまう人もいれば、1カ月経っても終わらない人がいます。なんなら1日で挫折する方すらいるのです。
この残酷な現実を見るたびに「プログラミングなんて簡単!誰でもエンジニアになれます!」なんて無責任な言葉を私は言えなくなるのです。
「プログラミングに才能・資質は必要か?」という議論が時にされますが、私は資質が必要と考えているタイプです。
ただし、生まれ持っての先天的な資質ではなく、後天的な資質だと考えています。
就職したり転職したりする20~25歳前後の人の場合、その約20年の間にどのような考え方で生活し過ごしてきたのか、その基礎地盤の上にプログラミング技術は載るのです。
「自分も他の人達と同じ未経験なんだから、スタートラインは同じ」と捉えがちですが、違うのです。プログラミングが未経験なだけで土台部分ではすでに差が付いているのです。
あなたの基礎地盤はちゃんとプログラミング技術を載せるだけの土台に育っているのでしょうか?それを自分で確認するのです。
転職前にやること①:自分にエンジニアの資質があるかを確認しよう
プログラミング全然したことないけど、IT企業から内定もらっちゃった。私ってエンジニアの資質があるってことですよね?
もちろん企業側も見極める目線で面接しているでしょうが、内定が取れたから君に資質があるという証明にはならないよ。
他人に自分の資質の有無を判断させるのではなく、君自身が本当にエンジニアの資質があるかどうかを見極めることが大事だよ。
エンジニアへと転職して今の仕事から解放されたいと思っている方は、会社を辞める前にエンジニアとしての資質を確認した方が絶対によいです。
エンジニアに向いていない方が、誤ってエンジニア職に就いてしまうと本当にきつくて後悔します。
専門用語が飛び交い、理解できないプログラミングを求められ、何も成果をあげられない、そんな時はせっかく頑張って転職した会社ですら本当に辞めたくなるのです。
こんな悲劇を生まないために、皆さんは自分に本当にエンジニア適性があるのかを自覚しなければなりません。
就職・転職したけど、向いていなくてすぐに辞めてしまったり、無理をして鬱になったりなんてことは、IT業界にもよくある話です。
本人も企業も誰も幸せにならない悲劇を生まないように、あなた自身が少しの努力をしてみませんか?
資質の確認方法:組み込み系エンジニアの場合
組み込み系エンジニアの場合、まず求められるのはC言語の習得能力です。
この言語を理解できるかどうかによって、プログラミング工程を任されるエンジニアの道へ進むか、転職してもテスターといった検証作業などのプログラミング外の方向に進むかの分岐点となっていくでしょう。
本サイトでは、プログラミング初心者の方を対象に『C言語入門カリキュラム』を無料で公開しています。
資質の確認方法として、このカリキュラムを利用するのが手っ取り早いです。次のペースを目安に進められるかを確認してみましょう。
勉強時間の余力 | 1日8時間換算での進み具合 |
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時間がある人 | 14日で『C言語入門カリキュラム』を完了 |
時間がない人 | 1日で『C言語 プログラミングの基礎知識』から関数の章まで |
勉強時間がない方は1日でざっくり見極められます。プログラミング技術を載せる基礎地盤が整っていない方は、分岐・反復・関数あたりでついてこれなくなります。
つまり、ここを1日で超えられるペースで進められるようであれば、最低限の資質があるということです。2週間で入門カリキュラムを全て終わらせられるのであれば資質は十分でしょう。
ペース以外にも次の観点で自分の資質をチェックしておきましょう。
この中でプログラミングを楽しめるかは大事な要素です。
プログラミング技術の習得は難なくできる人が、プログラミングにさして興味がないといったことは結構あるんです。そういった人は最初はいいのですが、そのうちモチベーションが上がらず技術が伸び悩みます。
本サイトは入門サイトとしてわかりやすく作っていますが、資質のない方が学習したら挫折します。つまり、誰でもクリアできる優しさではないということです。
資質チェックの時間はしっかりと課題も解いた上でのペースです。答えを先に見ることなく進めて自分の資質を確かめましょう!
資質の確認方法:組み込み系以外のエンジニアの場合
ソフトウェア開発のエンジニアにはいろいろな種類があります。Web系やPC向けアプリや携帯アプリなど、開発対象の違いで求められる言語や技術は大きく変わります。
本サイトは組み込み系開発に特化しているため、これらのエンジニアには有効ではありません。
しかし、世の中には溢れるほどのプログラミング学習サイト・スクールが乱立しています。そこから自分がなりたいエンジニアに向いた学習方法を見つけるのです。
まずは、高額なお金を払うスクールなどよりも、「Progate」といった無料・少額の学習サイトでプログラミングの最初の一歩を踏み出しましょう。
ただし「Progate」といったプログラミング超入門サイトといったサービスでは資質を確認するといったレベルでは物足りません。もう少しレベルを上げた学習サービスに移行していくとよいでしょう。
自分の資質を見極めたければ、「簡単にできる!」をコンセプトにしている学習方法は適切ではありません。
開発は常にわからないことが発生し、そのつど解決する力が求められます。そういったストレスにも適応できる資質が必要です。
転職前にやること②:ポートフォリオを作って自分を売り込め
C言語のカリキュラムですけど、最後まで楽しくやれました!なんか自信も付いて転職したい気持ちが高まりました!
それはよかった、まずはエンジニアになる資質はありそうだね。転職活動も現実味が増してきたと言ってもいいね。
次にやることは、未経験でIT業界に転職したい人がたくさんいる中で、君が他の人たちと違うよってところをアピールしたいところだね。
ポートフォリオって何?
実際に転職活動をすると、幾度となく面接を行うこととなるでしょう。
その際には自分の良さをアピールすることが大事です。いかにして自分を相手に売り込めるかがポイントになります。
つまり次にやるべきことは、自分を売り込むための「ポートフォリオ」を作ることです!
では、未経験者の方はいったい何をポートフォリオでまとめればよいのか?
企業の採用担当が未経験者の方に対して求めるものは、エンジニア職への適応力があるかどうかです。
これらを証明するためのポートフォリオを作り出せばよいのです。
経験者が転職する際は、自分の過去の体験をポートフォリオにまとめることができます。しかし、未経験者の場合はそもそも売り込むための材料がないわけです。
つまり、未経験者の方はこの状態からポートフォリオをいかに作り出すかが、内定を得るためのポイントになります。
マイコン制御の技術力をポートフォリオで売り込め!
組み込み開発の世界は、Web系やアプリ系の開発よりもとっつきづらさがあります。
それは動かす対象がパソコンではなく、ロボットや家電製品など異なるコンピュータ機器が必要となるからです。
このような背景から採用する企業側としても、未経験者に対してのエンジニアの資質を見極めるのがなかなか難しいところがあるということです。
しかし、逆にとらえれば、あなたがポートフォリオによってエンジニア資質があるという点をアピール材料として活用できれば、非常に大きなアドバンテージが得られるとも言えます。
本サイトでは、『マイコン入門用のカリキュラム』が用意されています。
このカリキュラムをクリアできれば技術力を向上させることができ、さらにポートフォリオのネタまで作り出すことができる構成となっています。
私が採用担当であれば、未経験ながら独学でC言語を勉強し、マイコンを動かすところまでを経験しました、とアピールされれば技術的な面では十分な資質ありと判断します。
もちろん、人間性やコミュニケーション力といった別の能力も見極めますが、これだけでも他の未経験者とは大きく差別化できることでしょう。
転職前にやること③:転職エージェントに登録と相談!
案外自分で転職先を見つけるって大変。どうやって応募するのかもわからないし、自分の希望の仕事ができるかを調べるのも一苦労だわ。
転職活動って大変です。希望の会社を見つけるのも、お給料や待遇などを確認・交渉するのも労力がかかります。
そこはプロである転職エージェントの力を借りるべきです。
転職する覚悟を決めたのであれば、今の会社を退職をする前に転職エージェントに登録しておきましょう。
転職エージェントとは?
転職エージェントは、転職希望者を無料でサポートしてくれるサービスです。
転職エージェントを活用することで、求人案件の提案・履歴書の添削・面接対策など様々なサポートをしてくれます。
未経験の方は、このようなサービスを利用することで少しでも自分への負担を小さくするようにしましょう。
転職活動は誰であっても焦る気持ちが出てきます。未経験者ということがさらにその気持ちを加速させます。
心に余裕を持たせるためには、荷物を他の人に持ってもらうことも大事なことです。転職エージェントというプロに任せられる部分をサポートしてもらいましょう!
なかなか周りの人に相談できない転職というデリケートな話も、エージェント相手ならば堂々と相談できます。
一人で悩む前に転職のプロフェッショナルである転職エージェントをうまく活用しましょう!
転職エージェントの種類
転職エージェントは、大手を選ぶのがオススメです。求人案件も多く持っており、サポートするエージェントの人数も多いためです。
担当となるエージェントの当たり外れもあることを見越して、2~3社ほど登録しておくとよいでしょう。大手でIT系にも強いエージェントです。
5分ほどの申し込み手順を踏めば登録ができます。
登録後は、電話やメールでエージェントと相談しつつ、興味のある案件を探しましょう。
皆さんが本気で転職に向き合うことで、エージェントも本気で対応してくれます。エージェントとWin-Winの関係を築くことを忘れないようにしましょう。
転職エージェントを利用するときの注意
転職エージェントの利用がなぜ無料で行えるかの仕組みは理解しておきましょう。
転職エージェントは転職希望者を企業に紹介し、企業からの紹介料を頂くことで運営されています。
つまり、これはビジネスであるということです。
ここをはっきりと意識していないと、都合のよい会社に紹介されてあなた自身が納得がいかない転職になってしまいます。
転職の主役はあなた自身です。
あなたが転職に対して何を重視するのかは、あなたしか決められません。あなたが何を求めているかをしっかりとエージェントに伝えましょう。
あなたの希望があいまいになるほど、エージェントもサポートに困り対応がしづらくなるのです。
エージェントとは甘える対象ではなく、ビジネスとしてサポートしてくれる存在であることを忘れてはいけません。
エンジニアへの転職前の Q & A
Q:職業適正検査テストを受ければ資質は簡単にわかるよね?
エンジニアの資質って、もっと簡単にわかる方法ありますよね。職業適性検査ってやつを受けたらエンジニアの適正ありって出たんですよ!
プログラミングなんてしたことないけど、私もエンジニアの道を目指すわ!
世の中にはちょっとした問題から、職業適性があるかを調べる検査があります。SPIやCABといったものが代表的なものでしょう。
しかし、皆さんがエンジニアとしての自分の資質を知る上で、このようなテストはいりません。
プログラミングの適性を知りたいのであれば、プログラミングをしてみればいいんです。
プログラミングというのは、今や誰でも学習できる時代であるということです。
飛行機のパイロットなんていったら自分の資質を確認することは難しいですが、プログラミングはパソコン1つで誰でもやれるのです。
プログラミングを実際にしてみること、それこそがあなた自身が適性があるかを知ることなんです。
プログラミングは、今の時代ならやろうと思えば誰でも始められるんです。小学生だって本気になればできるんです。
それをあなたがやらないのだとすれば、それはすでに資質がないのです。「パソコンを持っていないので、やれないです」は今の時代では何の言い訳にもなりません。
Q:このサイト以外でプログラムの資質を確認できるカリキュラムはないの?
ちょっと調べてみたら「Progate」「ドットインストール」とかってサービスが無料だったり、費用もそんなに掛かったりしなくてプログラムの勉強ができるって知りました。
こういったサービスを使って、プログラミングの資質があるかを確認すればいいですよね?
「Progate」や「ドットインストール」は今の時代で代表的なプログラミング入門者用のサービスです。
これらのサービスを利用して、人生最初のプログラミングを体験してみるのはありだとは思います。
ですが、エンジニアとしての資質を確認したいという目的であれば物足りないものと考えてください。
これらのサービスは誰でもできるほどやさしい代わりに、資質を確認できるほどの難易度を持っていません。
資質を確認したいのであれば、しっかりと体系的に学べるサイトやスクールに利用することをオススメします。
「Progate」が一通りできたので、プロのエンジニアになれるといったものではないということです。これは「Progate」を批判しているわけではなく、あなたがそのサービスを何を目的に利用しようとしているかということです。
プログラミングを体験したいって目的ならよいですが、エンジニアの資質を確認したいってレベルでは物足りないということです。
Q:カリキュラムが全然わかりません。無理ってことですか?
このサイトのC言語のカリキュラムを見たけど、何言ってるのかさっぱりわからないわ。
やっぱりプログラミングなんて無理なのかしら?
「プログラミング未経験者に対して、C言語は難しすぎる」といった意見が世の中にはあります。
ただ、C言語はプログラミング言語の本質を学ぶ上で必要な土台を作り上げることができる言語です。
本サイトのカリキュラム序盤でつまづいている方は、プログラミング言語を理解できないというよりは、根本的な読解力や論理力の基礎地盤が培われていない可能性が高いです。
この力は実際の開発現場に入ると、ものすごく必要になるものなので正直に言うとエンジニアの道をあきらめるのも手だと思います。
どうしても諦めきれないという方は、Web系エンジニアとしての道をチャレンジしてみるのもあるでしょう。
HTMLやCSSなど、C言語とはまた毛色が異なる言語もあります。ひょっとしたら、そちらとの相性は良い可能性もあるかもしれません。
Q:プログラミングに挫折を感じてるけどエンジニアを諦めたくない
いろいろなプログラミングの勉強したけど全然わかんない。
でも「挫折した」っていうと負けた感じがする。無理にでも続けた方がいいのかな?やり続ければエンジニアになれるのかな?
「エンジニアの世界に絶対行きたい」という考え方を捨てましょう。エンジニアの世界は決して楽園ではありません。
プログラミングの勉強をしてみて「無理だな」と感じたのであれば、その気持ちを大事にしてあげてください。
それこそが自分の資質を知るということなのです。
ITの世界はメンタルがやられることも多い職種です。無理と思うことを職業にしてやり続けることは、自分を追い詰めることになります。
過去の人生を思い返してみてください。トライしたけど向いてなかった、なんてものはたくさんありますよね。
そうやって自分が向いているものや好きなものを見つけていけばよいのです。
やらずに諦めるよりも、やった上で諦めた方が次の目標に未練なく進むことができます。
「エンジニアという職種の選択肢をひとつ削ることができた」と前向きにとらえましょう!世の中に職業はたくさんあるんですから。
まとめ:転職する前にやるべきこと
それでは、皆さんが今の会社を辞める前にやるべきことをまとめます。
- プログラミングの一歩を踏み出し、自分にエンジニアとしての資質があるかどうかを確認しましょう。資質がなさそうなら潔く別の道を探し出しましょう!
- 転職するために有利な材料とするためのポートフォリオ(自分広告)を作ることを意識して、カリキュラムを進めましょう!
- 希望の仕事ができるために転職エージェントの登録をしましょう。エージェントとの二人三脚でよりよい転職を目指しましょう!